近代セールス2015年4月1日号<デジタル版サンプル>

近代セールス2015年4月1日号<デジタル版サンプル> page 10/16

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概要:
欧州中央銀行(ECB)は3月5日開催の政策理事会で政策金利(レポ金利)を0・05%に据え置く一方、前回1月の会合で導入を発表した毎月600億ユーロ(1ユーロ=130円換算で7兆8000億円)規模の国債....

欧州中央銀行(ECB)は3月5日開催の政策理事会で政策金利(レポ金利)を0・05%に据え置く一方、前回1月の会合で導入を発表した毎月600億ユーロ(1ユーロ=130円換算で7兆8000億円)規模の国債等の資産購入を柱とする量的緩和を3月9日から開始することや、対象となる債券発行体等を発表。当面、2016年9月までの19カ月間継続し、必要ならば延長の可能性も示した。ECBの量的緩和についてはすでに概要は発表されていたが、今回理事会後に発表された声明文や補足資料、さらにドラギ総裁の記者会見などを通じてより詳細な実施方法が明らかになった。まず、資産買入れはECBおよびユーロ圏の各国中央銀行が「段階的かつ広範囲に」購入を行っていく。具体的には16年9月までの19カ月間、毎月600億ユーロ規模のユーロ建て資産を購入。単純に計算するとECBのバランスシート(資産)は15年2月末時点の約2・2兆ユーロから16年9月には約3・3兆ユーロに達し、12年6月のピーク時点の約3・1兆ユーロを上回ることになる。ECBは「原則として預金金利を上回っている限り、最終利回りがマイナスの市場性債券の購入を容認する」としている。具体的には、市中銀行のECBへの預金金利は現在▲0・20%であるが、この水準を上回るのであれば購入対象となる。成長見通しを上方修正ECBスタッフによるユーロ圏の経済見通しでは、15年、16 年の実質GDP成長率が3カ月前に比べそれぞれ前年比1・5%、同1・9%へと引き上げられた一方、消費者物価指数は15年が同0・0%へ下方修正となった。ECBはユーロ圏経済が原油安とユーロ安に加え、3月開始の量的緩和の効果が広がるとの予想を背景に、高めの経済成長経路を描いている。今年伸び率ゼロのインフレ率も、16年は同1・5%、17年に同1・8%とECBの目標(2%以下、ただしその近く)の水準に近づくとしている。今後、この量的緩和実施に加えて、各国が財政政策で協調できるかが、見通しに描かれたような欧州景気持ち直しのカギとみられる。ただ、当面はギリシャ支援問題に加え、ウクライナ情勢など地政学リスクも抱えており、引き続き予断を許さない状況が続こう。(3月6日)●ECBスタッフによるユーロ圏経済見通し2017年(予)2.1[0.9~3.3]――1.8[1.0~2.6]――(注)予測レンジの中央値、[ ]カッコ内はレンジ、前回予測は2014年12月発表出所:欧州中央銀行(ECB)資料(2015/3/5発表)より作成2016年(予)1.9[0.8~3.0]1.5[0.4~2.6]1.5[0.8~2.2]1.3[0.6~2.0]2015年(予)1.5[1.1~1.9]1.0[0.4~1.6]0.0[▲0.3~0.3]0.7[0.2~1.2]2014年(実)0.90.80.40.5今回前回今回前回実質GDP(前年比、%)消費者物価(前年比、%)量的緩和開始に踏み切った欧州中央銀行(ECB)ECBが大規模な量的緩和の実施概要を明らかに。低成長とデフレ懸念からの脱却を目指すも、楽観的な見通しの実現は難しく、なお予断を許さない。みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部シニアエコノミスト竹井豊2015・4月1日号10