近代セールス2015年4月1日号<デジタル版サンプル>

近代セールス2015年4月1日号<デジタル版サンプル> page 11/16

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概要:
中国では経済成長の鈍化傾向が続いている。14年の実質GDP成長率は前年比7・4%増と前年の同7・7%増を0・3ポイント下回った。これを受けて国有企業(除く金融機関)の業績も減速。14年の売上高は前年比....

中国では経済成長の鈍化傾向が続いている。14年の実質GDP成長率は前年比7・4%増と前年の同7・7%増を0・3ポイント下回った。これを受けて国有企業(除く金融機関)の業績も減速。14年の売上高は前年比4・0%増(13年は同10・8%増)、純利益は前年比3・4%増(13年は同5・3%増)にとどまる。一方、中国株は堅調で、上海総合は前年同時期と比べて61%も上昇。日経平均の同26・7%上昇を上回るとともに、モディ首相誕生で賑わったインド株の同38・4%やジョコ・ウィドド大統領誕生で盛り上がったインドネシア株の同18・0%上昇も上回る上昇率である。金融不安解消と需給改善中国株上昇の背景には二つの要因があったと思われる。一つは金融不安の沈静化。昨年の今頃は財テク商品(理財商品、信託商品など)や社債の債務不履行への不安が高まり、金融市場には動揺が広がっていた。その後、中国人民銀行が金融を緩和気味に微調整したことや、中国政府が鉄道建設計画を上乗せしたことなどで景気が上向いて金融市場は落着きを取り戻し、株価の押上げ要因となった。もう一つは需給環境の改善である。昨年の今頃は新規株式公開(IPO)の再開などで需給悪化懸念が高かった。その後、上海市場と香港市場で相互に株式取引を開放するとの方針が伝えられると海外資金流入に対する期待が高まった。また、国有企業改革で民間からの出資が増えるとの期待、不動産市場から株式市場へ資金が流入するとの期待、MSCIが新興国株指数にA株(人民元建て)を組み入れるとの期待が重なり、需給悪化懸念は薄れていった。こうした理由で中国株は上昇。昨年の今頃は10倍前後で低迷していた株価収益率(PER)は16倍前後に回復した。今後の展開を考えると、PERで16倍前後という水準は国際的に見て高いほうではなく、このままPERで20倍程度(上海総合で約4000)まで上昇してもおかしくない。しかし、中国は住宅市場に大きなリスクを抱える。二度にわたる利下げでも住宅価格下落に歯止めがかからないようだと、経営破綻する不動産デベロッパーが増えて金融不安が再燃する恐れがある。株式時価総額で世界第二位に浮上した中国株は、今後も世界の注目を集めそうだ。(3月5日)●過去1年の世界の株価上昇率(資料)Datastream世界第二位に浮上した中国株その上昇は本物なのか??経済成長鈍化をよそに上海総合は過去1年で61 %上昇。まだ上昇する可能性はあるが、住宅バブル崩壊のリスクも。ニッセイ基礎研究所上席研究員三尾幸吉郎11 2015・4月1日号