近代セールス2015年4月1日号<デジタル版サンプル>

近代セールス2015年4月1日号<デジタル版サンプル> page 9/16

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概要:
厳しい冬を潜り抜け、春が訪れると間もなく、米国ではドライブ・シーズンを迎える。例年の傾向では、5月から8月頃にかけて自動車の走行距離が大きく伸長。このため、春先から夏場にかけてはガソリン需要が膨らみ、....

厳しい冬を潜り抜け、春が訪れると間もなく、米国ではドライブ・シーズンを迎える。例年の傾向では、5月から8月頃にかけて自動車の走行距離が大きく伸長。このため、春先から夏場にかけてはガソリン需要が膨らみ、年間を通してみてもガソリン価格は比較的堅調に推移しやすい時期となる。ただし、この数年間はドライブ・シーズンであってもガソリン価格は比較的安定しており、その変動を警戒する向きはそれほど拡大していなかった。おそらく、原油相場が安定していたことに加え、リーマン・ショック以降は燃費の良い自動車が好まれていたことも、ガソリン価格の安定に寄与していたのだろう。しかし今年に限って言えば、ガソリン価格の動向には警戒を要するだろう。3月第一週時点のガソリン価格は1ガロン(4リットル弱)あたり2・5ドル程の水準であり、例年に比べて1ドル以上安い水準で推移している。ただし1月末以降、ガソリン価格が反発に転じた様をのぞかせており、直近のボトムから比べるとガソリン価格はすでに2割程度上昇。水準は低くともその上昇の足は速い。消費を下支えする要素も原油価格の底打ち感が台頭し、しかもドライブ・シーズンを迎えるとあっては、ガソリン価格の先高感が意識され始めても仕方がない。とすれば、消費者のマインドもいくばくかの悪化は避けられないと見られる。ただし、これをもって消費全体が萎んでしまうかと言えば、その可能性は低いと捉えている。その理由はまず、冬季は消費のうちサービス支出の増加が目立っており、これは暖房費の増加による部分が大きいと見られる点。そして、ガソリン価格が急速に低下する一方で個人の貯蓄率が上昇しており、浮いたお金を貯蓄に回していた可能性が高い点もポジティブだ。春先にかけて暖房費の支出が低下し、加えてこれまでガソリン価格の下落に慎重姿勢であったことが、ガソリン価格上昇時の消費活動を下支えすることになるだろう。唯一、高額品・高級品消費については、消費者マインドの悪化に伴い一時的に伸び悩む可能性がある。消費に対しては強気の姿勢を維持するものの、その中身には濃淡をつけて臨みたい。(3月6日)●ガソリン小売価格の推移(レギュラー、全米平均)出所:EIAより大和証券作成倹約は身を助く? ガソリン価格の上昇が招く消費の濃淡ドライブ・シーズンを控え、ガソリン価格の先高感がくすぶる。消費活動そのものは底堅かろうが、マインド悪化に伴う高額品消費の低迷には要注意。大和証券ストラテジスト弘中孝明9 2015・4月1日号